甲状腺機能亢進症とは
甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)は、首の前側にある甲状腺という臓器が、必要以上に甲状腺ホルモンを作り出してしまう病気です。
甲状腺ホルモンは体の代謝を調節する重要な役割を担っており、これが過剰になると全身にさまざまな症状が現れます。
甲状腺機能亢進症の主な特徴
- 甲状腺ホルモンが過剰に分泌される状態
- 体の代謝が異常に活発になる
- 動悸、体重減少、発汗などの症状が出る
- 代表的な病気として「バセドウ病」がある
甲状腺機能亢進症の中で最も多いのがバセドウ病で、全体の約8割を占めています。
当院では、糖尿病だけでなく甲状腺疾患の診療も行っておりますので、気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。
バセドウ病について
バセドウ病は、甲状腺機能亢進症の代表的な病気で、自己免疫疾患の一つです。
本来は体を守るはずの免疫システムが誤って自分の甲状腺を刺激してしまい、甲状腺ホルモンが過剰に作られる状態になります。
適切な治療を受けることで、多くの患者様が日常生活を問題なく送れるようになります。
バセドウ病の特徴
- 20代から40代の女性に多く発症する
- 男性よりも女性が約5倍多い
- 遺伝的な要因も関係している
- ストレスや喫煙が発症のきっかけになることがある
- 日本では約10万人に20人程度が発症している
バセドウ病の初期症状
バセドウ病の初期症状は多岐にわたり、個人差も大きいため、見逃されやすい特徴があります。
代謝が異常に活発になることで、全身にさまざまな症状が現れます。
全身の症状
- 動悸や息切れがする
- 汗を異常にかく
- 暑がりになる
- 疲れやすい、だるい
- イライラしやすくなる
- 手指が細かく震える
体重と食欲の変化
- 食欲が増しているのに体重が減る
- 食べても太らない
- 筋力が低下する
その他の特徴的な症状
- 首が腫れる(甲状腺腫大)
- 眼球が前に出る(眼球突出)
- 月経不順や月経量の減少
- 下痢や排便回数の増加
- 髪の毛が抜けやすくなる
これらの症状は徐々に進行することが多く、「疲れているだけ」「年齢のせい」と見過ごされがちです。
複数の症状が当てはまる場合は、早めに受診することをおすすめします。
バセドウ病の原因
バセドウ病は自己免疫疾患の一種で、体の免疫システムが誤作動することで発症します。
本来、細菌やウイルスなどの外敵から体を守るはずの免疫が、自分の甲状腺を攻撃対象としてしまいます。
免疫システムが甲状腺刺激ホルモン受容体に対する抗体を作り、この抗体が甲状腺を刺激し続けることで、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されます。
発症に関係する要因
- 遺伝的要因
家族にバセドウ病や甲状腺疾患の方がいると発症リスクが高くなります - 性別
女性が男性の約5倍多く発症します - 年齢
20代から40代に多く見られますが、どの年齢でも発症する可能性があります - ストレス
精神的・肉体的ストレスが発症のきっかけになることがあります - 喫煙
喫煙者は非喫煙者より発症リスクが高いことが分かっています - 妊娠・出産
産後にホルモンバランスが変化し発症するケースもあります
バセドウ病の検査と診断
バセドウ病の診断は、症状の確認と血液検査を中心に行います。
1. 血液検査
2. 超音波検査(エコー)
3. 診察での確認事項
- 首の腫れの有無
- 眼球突出の程度
- 手指の震え
- 脈拍数や血圧
- 体重の変化
診断は、これらの検査結果を総合的に判断して行います。
血液検査は当日中に結果が出ることが多いため、早期の診断が可能です。
気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
バセドウ病の治療
バセドウ病の治療には主に3つの方法があります。
薬物療法(抗甲状腺薬)
最も一般的な治療法で、第一選択となることが多い方法です。
メルカゾールやプロパジールなどの薬を服用し、甲状腺ホルモンの合成を抑えます。
通常1 年から5年程度継続する必要がありますが、体への負担が少なく外来通院で治療できるというメリットがあります。
定期的な血液検査を行い、副作用に注意しながら治療を進めます。
放射性ヨウ素内用療法(アイソトープ治療)
放射性ヨウ素のカプセルを飲むことで、甲状腺の細胞を破壊しホルモン分泌を減少させる治療法です。
薬物療法で効果が不十分な方や再発を繰り返す方が対象となります。
入院不要で1回の治療で効果が期待できますが、治療後は甲状腺機能低下症になることが多く、ホルモン補充療法が必要になる場合があります。
手術療法(甲状腺亜全摘出術)
甲状腺の大部分を切除する手術です。
甲状腺が非常に大きい方、薬物療法が使えない方、早期の治癒を希望する方が対象となります。
確実に治療効果が得られますが、全身麻酔と入院が必要です。
バセドウ病は治る?
結論から申し上げると、バセドウ病は適切な治療を受けることで、症状をコントロールし日常生活を問題なく送ることができる病気です。
薬物療法を1年から5年程度継続すると、約30~50%の患者様で寛解が得られます(寛解とは、薬を中止しても甲状腺ホルモンの値が正常に保たれる状態のことです)。
ただし、寛解後も再発する可能性があるため、定期的な経過観察が大切です。
バセドウ病は適切に治療すれば、仕事や日常生活にも支障なく過ごせます。
治療によっては甲状腺機能が低下し、ホルモン補充療法が必要になる場合もありますが、それによって健康的な生活を維持することができます。
大切なのは、自己判断で治療を中断せず、医師の指示に従って定期的に通院することです。
里村糖尿病内科イオンタウン東浦和院では、患者様の不安に寄り添いながら、長期的な健康管理をサポートいたします。
よくある質問
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バセドウ病は遺伝しますか?
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バセドウ病には遺伝的な要素がありますが、必ずしも遺伝するわけではありません。
家族にバセドウ病の方がいると発症リスクは高くなりますが、環境要因やストレスなども関係しているため、遺伝だけで発症するものではありません。
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妊娠・出産はできますか?
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適切に治療を受けていれば、妊娠・出産は十分可能です。
ただし、妊娠中は薬の種類や量を調整する必要があるため、妊娠を希望される場合は事前に医師にご相談ください。甲状腺ホルモンの値をしっかりコントロールすることが大切です。
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治療中にお酒やコーヒーは飲めますか?
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適量であれば問題ありません。
ただし、過度な飲酒は体に負担をかけますし、カフェインの摂りすぎは動悸を悪化させる可能性があります。
症状の状態を見ながら、適度に楽しむことをおすすめします。
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仕事や運動はできますか?
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治療でホルモン値が安定していれば、通常の仕事や運動は可能です。
ただし、治療開始直後や症状が強い時期は、激しい運動を控え、十分な休息を取ることが大切です。
医師と相談しながら、徐々に日常生活を取り戻していきましょう。
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定期検査はどのくらいの頻度で必要ですか?
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抗甲状腺薬のまれな副作用に「無顆粒球症」があります。
発症率は1%未満ですが、ひとたび起こすと免疫不全状態となってしまうため、抗甲状腺薬の治療開始から2ヶ月間は2週間に1回程度の血液検査をさせていただきます。
症状が安定してきたら1 か月から3か月に1回程度の血液検査が必要です。
薬を中止した後も、再発の確認のため定期的な検査が推奨されます。
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