パーキンソン病について

「歩くときに足が出にくくなった」「手がふるえて、字が書きにくい」……。そんな症状にお悩みではありませんか?
パーキンソン病は、適切な診断と治療により、症状を大きく改善し、生活の質を保つことができる病気です。
パーキンソン病とは?
脳の中心にある脳幹(正確には中脳黒質)にあるドパミンを作る神経細胞が減少することによって、手がふるえる、歩きにくい、転びやすくなるなど、体をスムーズに動かせなくなる病気です。
高齢になるほど発症しやすく、65歳以上では100人に1人くらいの方がパーキンソン病になると言われており、潰瘍性大腸炎と並んで国に指定されている難病の中で最も多い疾患です。

パーキンソン病の原因
神経細胞の中に「αシヌクレイン」という特殊なタンパク質が蓄積し、「レビー小体」という異常なたんぱく質の塊が形成されることによって、神経細胞の減少をきたすと考えられています。
また、レビー小体は脳幹以外の場所にある神経細胞にも生じるため、体の動き以外にもさまざまな症状を伴うことがあり、例えば自律神経系の神経細胞が障害されることで、頑固な便秘や立ちくらみ(起立性低血圧)が生じます。
レビー小体型認知症について
さらに、レビー小体が脳の中心にある脳幹ではなく、脳の表面(大脳皮質)にある神経細胞に蓄積した場合には、実際にはその場にいないものが見える「幻視」を特徴とする認知症である、レビー小体型認知症を生じます。
パーキンソン病とレビー小体型認知症の2つの疾患は合わせて「レビー小体病」と呼ばれ、パーキンソン病と診断された方に認知症の症状が現れることや、逆にレビー小体型認知症の方にパーキンソン病の症状が現れることがしばしばあります。
パーキンソン病と区別が必要な病気
パーキンソン病と似た症状が出る病気は多くありますが、いずれも症状の進み方や治療方法が異なるため、きちんと区別して診断することが重要です。
具体的には、薬の副作用によって生じる薬剤性パーキンソニズム、小さな脳卒中を繰り返すことによって生じる脳血管性パーキンソニズムのほか、多系統萎縮症(線条体黒質変性症)、進行性核上性麻痺などの神経難病が挙げられます。
パーキンソン病の自己チェック
以下の項目に複数当てはまる方は、パーキンソン病の可能性がありますので、受診をお勧めします。
主な症状(運動症状)
- じっとしているときに手がふるえる
- 手が使いにくい(字が書きにくい、箸が使いにくい、細かい動作に時間がかかるなど)
- 歩幅が小さくなった
- 歩き出そうとしたときに、一歩目が踏み出しにくい
- 転びやすい
- 表情が硬くなったと言われる
- 反応が遅くなったと言われる
随伴症状(動き以外の症状)
- 便秘
- 立ちくらみ
- 実際にはいない人・動物・虫などが見える(幻視)※
- もの忘れ※
※これらはパーキンソン病と共通の原因で生じ、合併することのある「レビー小体型認知症」の症状です。
当院の診断・検査方針
パーキンソン病は国の指定難病の一つであり、早期の正しい診断が重要です。
「加齢による衰え」と諦めていた方が、適切な治療によって車椅子から一人で歩けるまで回復するケースも少なくありません。
丁寧な問診と診察

患者様の状態を詳しくお伺いしたうえで、専門的な診察を行います。
お薬の影響を確認
他の病気で処方されている薬(吐き気止めや精神科の薬など)が原因になっていないかどうか確認します。
※【お願い】正確な診断のため、受診の際は必ず「お薬手帳」をお持ちください。
画像検査(MRIなど)
パーキンソン病自体はMRIで異常は見られませんが、似た症状を起こす他の脳疾患(脳血管障害など)がないかを確認します。
診断的治療
診断を確定させるために、実際にお薬を服用していただき、その効果を確認することがあります。
精密検査の連携
さらに詳しい検査が必要な場合は、ドパミンの減少を捉える特殊な検査(DaTスキャン)が可能な専門医療機関をご案内します。
パーキンソン病の治療法
症状の進行を完全に止めることは難しいですが、お薬によって症状をコントロールすることが可能です。
動きに関する治療
脳内で不足するドパミンを補う「L-ドパ」の内服治療が基本となります。
その他にも様々な種類の薬があり、患者様の年齢、症状の進行度合い、生活状況に合わせて、最適な組み合わせを提案します。
動き以外の症状に関する治療
便秘、立ちくらみ、幻視、物忘れなどの症状の合併がある場合、動きに関する治療と並行して、これらの症状に対する治療も進めていきます。
よくあるご質問(Q&A)
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頭のMRI検査が正常なら、パーキンソン病の心配はないですか?
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パーキンソン病はMRI検査では異常が検出できないため、検査結果が正常であってもパーキンソン病の可能性があります。
また、パーキンソン病と症状が似ている他の病気(脳血管性パーキンソニズム、多系統萎縮症、進行性核上性麻痺など)は頭部MRIで異常を認めることが多いため、パーキンソン病が疑われる症状があってMRI検査の結果が正常の場合には、むしろパーキンソン病である可能性が高くなります。
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手のふるえがなくてもパーキンソン病の可能性はありますか?
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手のふるえ(振戦)はパーキンソン病でもっとも有名な症状の一つですが、20~40%の患者さんはふるえが見られないと言われています。
ふるえがない場合には受診や診断が遅れる傾向があり、手足の動かしにくさや歩きにくさがあり、少しずつ悪くなってくる場合には、ふるえがなくても脳神経内科を受診することをお勧めします。
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パーキンソン病の進行は早いですか?
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パーキンソン病は進行性の病気ではありますが、個人差が大きいものの進行速度はゆっくりであり、適切な治療を受けることによって、診断から10年以上経っても仕事を続けておられる患者さんが多くいらっしゃいます。また、近年の治療の進歩により、パーキンソン病の平均寿命(平均余命)は健康な方とほとんど変わらないと言われています。
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パーキンソン病の治療にはどのようなものがありますか?
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ドパミンを作る神経細胞が減少することによって、脳内で不足したドパミンを補うための薬物療法が基本の治療となります。
治療の中心となるドパミン前駆物質のL-ドパ以外にも、ドパミン受容体刺激薬、MAO-B阻害薬、COMT阻害薬、ドロキシドパ、ゾニサミド、アデノシンA2A受容体拮抗薬、アマンタジン、抗コリン薬などがあり、全体で数十種類もの薬があります。また、長期間にわたる治療で薬物療法によるコントロールが難しくなってきた場合には、脳深部刺激療法などの手術療法、薬を持続的に投与する持続経腸療法や持続皮下注療法などを検討することがあります。さらに、2026年3月には、iPS細胞から作られたドパミン神経前駆細胞を脳に移植する再生医療製品である「アムシェプリ®」が世界に先駆けて日本で承認されており、治療の選択肢がさらに広がっています。
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パーキンソン病で食べてはいけないものなど、食事について注意はありますか?
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パーキンソン病で食べてはいけないものは特にありません。基本の治療薬であるL-ドパについては、食事の内容によって薬の吸収速度が変わる可能性はありますが、治療期間が長くなり、L-ドパの効き目が不安定になったような状況でなければ、特に気にしなくてよいと考えます。なお、食前に内服した場合には食事の影響が無くなるため、食事内容によらずL-ドパの吸収が早くなりますが、効果が出るのが早くなる一方、薬の効き目も早く切れてしまうため、通常は食後に内服します。 なお、食事の内容については、高齢の方の場合は筋肉の減少を防ぐために十分な蛋白質を摂って頂く、生活習慣病をお持ちの方は、病気に応じた食事療法の継続するなど、パーキンソン病だけに着目せず総合的に考えたほうがよいと思います。
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