里村糖尿病内科イオンタウン東浦和院
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認知症治療の本当の目標とは―ご本人と家族の笑顔を守るために―

認知症治療の本当の目標とは―ご本人と家族の笑顔を守るために―

皆さま、こんにちは。里村糖尿病内科イオンタウン東浦和院、脳神経内科の田中です 。

先日、認知症に関するセミナーに参加し、医師として、そして一人の人間として改めて深く考えさせられることがありました 。今回は、私たちが日々の診察の中で大切にしている「認知症治療のあり方」について、皆さまにお話ししたいと思います 。

認知症と加齢による「もの忘れ」との違い

そもそも認知症とは、一度正常に発達した知的機能が、脳の障害によって持続的に低下し、日常生活に支障をきたすようになった状態を指します 。これは単なる加齢による「もの忘れ」とは異なります 。物事の判断や記憶が難しくなることで、それまで当たり前にできていた「その人らしい生活」を送ることが困難になってしまう病気なのです 。

記憶の低下よりも切実な「心のつながりの断絶」

セミナーを通じて私が再認識したのは、認知症において本当に向き合うべき問題は、記憶力の低下そのものだけではないということです 。実は、それ以上に切実な問題は、これまで築き上げてきた「ご本人と周囲の方々との関係性」が、病気によって壊れてしまうことにあるのではないでしょうか 。

これまで共に笑い合い、支え合ってきたご家族が、病気の症状ゆえにお互いを責めたり、疑ったり、介護に疲れ果ててしまったりすることがあります 。この「心のつながりの断絶」こそが、認知症という病気がもたらす最も苦しい側面だと私は感じています 。

進行を遅らせるだけで終わらせないために

認知症治療の主軸は症状の進行を遅らせることであり、数年前から抗アミロイドβ抗体薬という新しい選択肢も加わりました 。しかし、もしご本人とご家族が傷つけ合い、苦しい思いをしたまま進行だけを遅らせたとしたら、それは「ただ苦しい時間が長く続いてしまう」ことにもなりかねません 。

認知症の患者さんは、記憶や見当識の障害によって「自分が自分でなくなっていく」という、言葉にできないほどの不安を抱えています 。できないことが増える焦りや、脳の機能低下によって感情のコントロールが効かなくなることもあります 。こうした背景から、暴言や興奮、焦燥感といった症状、いわゆるBPSD(認知症に伴う行動・心理症状)が現れ、人間関係に大きな影響を及ぼすのです 。

新しい治療の選択肢と周囲の心の準備

私たちは、これからどのような症状が起こりうるのかを事前にお伝えすることで、ご家族が心の準備を整え、不必要な衝突を避けられるようお手伝いしたいと考えています 。また、症状が強い場合には、お薬の力を借りることも大切です 。抗アミロイドβ抗体薬の登場と同時期に、これまで適切な治療薬が少なかったBPSDに対して、ブレクスピプラゾールというお薬が保険適応になりました 。こうした新しい選択肢により、ご本人の不安や興奮を和らげ、ご家族の負担を軽減できる可能性が大きく広がっています 。

当院が目指す認知症診療

「病気だから仕方ない」と諦めるのではなく、病気を正しく理解することで、ご家族が手を取り合える穏やかな時間をなるべく長く作ること。それこそが、私たちが目指す認知症診療の目標です 。もの忘れが気になり始めたときは、ご本人だけでなく、ご家族全体のこれからの生活を考える大切なタイミングでもあります 。決して一人で抱え込まず、どうぞお気軽に当院へご相談ください 。皆さまの穏やかな毎日がこれからも続いていくよう、私たちは一緒に歩んでまいります。

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