皆さま、こんにちは。里村糖尿病内科イオンタウン東浦和院、脳神経内科の田中です 。
今回は、片頭痛の治療で用いられる薬剤について、まとめてご紹介します。 なお、片頭痛全般に関して知りたい方は、こちらのページも是非ご覧ください。
片頭痛はなぜ起こる?
ストレスの蓄積やその解放、寝不足、気圧の変化などによって、頭の感覚をつかさどる三叉神経(さんさしんけい)が過剰に興奮し、「CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)」をはじめとする痛み物質が過剰に放出されることで、血管の拡張や炎症を引き起こし、頭痛が生じると考えられています。
片頭痛に対して有効性の高い治療薬はいずれも、このCGRPの放出を抑えたり、CGRPが血管に作用することをブロックしたりすることで、効果を発揮します。

日経メディカル 「抗体医薬登場で片頭痛は予防する時代に!」 記事内の図を参考に作成
片頭痛治療薬の分類
片頭痛の治療薬は、今ある痛みを止めるための薬剤(発作時薬、急性期治療薬)と、片頭痛を起こしにくくするための薬剤(予防薬)の2種類に大きく分けられます 。
頭痛が起こる回数が少ないうちは、発作時薬の頓服のみで治療を行いますが、平均して週に1回以上など頻度が高い場合には、発作時薬のみでは適切なコントロールができないため、予防薬の併用が必要です。
発作時薬一覧
(1) トリプタン系薬
発作時薬として最もよく使われる薬で、三叉神経にあるセロトニン1D受容体に作用してCGRPの放出を抑えるほか、脳の血管にあるセロトニン1B受容体にも作用して、頭痛を鎮めます。
スマトリプタン(イミグラン)、ゾルミトリプタン(ゾーミッグ)、エレトリプタン(レルパックス)、リザトリプタン(マクサルト)、ナラトリプタン(アマージ)の5種類の薬があり、症状、有効性、副作用などをみながら、それぞれの方にあう薬を選択します。
(2) ジタン系薬
ラスミジタン(レイボー)は、三叉神経にあるセロトニン1F受容体に作用して、CGRPの放出を抑えることにより効果を発揮します。
トリプタン系薬と異なり、血管への作用がないため、心筋梗塞や脳梗塞などを過去に起こしたことのある方でも使用可能なこと、飲むタイミングが遅れても効果がある点が特徴ですが、めまい感や眠気の副作用に注意が必要です。
(3) ゲパント系薬
後述するとおり予防薬としての有効性が高い薬剤ですが、リメゲパント(ナルティーク)については、発作時薬としても使用可能です。
(4) その他の発作時薬
アセトアミノフェン(カロナール)、ロキソプロフェン(ロキソニン)、イブプロフェンなどの市販されている解熱鎮痛薬については、成人の片頭痛には有効性が低いとされていますが、薬の効き方には個人差があり、トリプタン系薬より効果があるという方もいらっしゃいます。
また、小児の片頭痛では、イブプロフェン、アセトアミノフェンが第一選択薬となります。
予防薬一覧
(1) 抗CGRP抗体薬
抗体薬とは、ヒトの体内に本来備わっている免疫システムの主役の一つである「抗体」を利用した医薬品であり、抗CGRP抗体薬はCGRPに直接結合して無力化することで、高い片頭痛予防効果を発揮します。ガルカネズマブ(エムガルティ)、フレマネズマブ(アジョビ)の2種類があり、いずれも皮下注射薬で自己注射が可能です。
(2) 抗CGRP受容体抗体薬
エレヌマブ(アイモビーグ)は、CGRPが血管に作用する際に受け皿となるCGRP受容体をターゲットとした抗体薬であり、CGRPが受容体に結合できないようにすることで、頭痛の発症を防ぎます。抗CGRP抗体薬と同様に皮下注射薬であり、同等の高い予防効果があります。
(3) ゲパント系薬
抗CGRP受容体抗体薬と同様、CGRP受容体に結合することでCGRPをブロックし、血管にシグナルが伝わることを防ぎます。抗体薬ではないため内服での治療ができる点が特徴で、リメゲパント(ナルティーク)、アトゲパント(アクイプタ)の2種類の薬があります。片頭痛予防効果は抗体薬(注射薬)と同じく高いです。
(4) その他の予防薬
CGRPをターゲットとした薬剤が販売される以前から、長く使用されている予防薬として、ロメリジン(ミグシス)、プロプラノロール(インデラル)、アミトリプチリン(トリプタノール)、バルプロ酸(デパケン)などがあります。
予防効果としてはCGRP関連薬には劣るものの、薬の価格が大幅に低く、十分な予防効果が得られる方も多くいらっしゃいます。最初にこれらの薬を使用して予防効果を確認したうえで、CGRP関連薬による治療が必要かどうか検討していきます。
当院が目指す片頭痛診療
2000年にトリプタン系薬、2021年にCGRP関連薬が発売されて以降、片頭痛の治療選択肢は大幅に広がっており、頭痛に左右される生活を、大きく改善することができるようになっています。里村糖尿病内科イオンタウン東浦和院では、患者さん一人ひとりの症状を丁寧に伺い、ご本人の治療に対する考え方やご希望を踏まえて、最適と考えられる治療をご提案します。ぜひ一度、お気軽にご受診ください 。
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